2010年4月13日火曜日

小鹿田焼の里

バスにゆられて40分。小雨降るなか小鹿田焼の里皿山へ到着。
いきなり「ぎゅおおおおおおおお…ズドドン」「ぐぎいいいいいいいい…ダダン」と聞こえる。
話には聞いていても、これがかの唐臼だとは、瞬間思えなかった。
「日本の音百景」なんて生易しいものじゃない。
妻は狂った牛が唸りながら暴れまわってる音、と言っていた。

最初は小鹿田焼資料館から、と言いながら坂を上がって愕然とする。
資料館とは言いながら、電気もついてないし、入り口ひらきっぱなしだし、
狭いし、休憩場所も無いし。。。
中にあるものは、興味をそそられるものもあったのだが、
それよりも、雨が降っても寒くても、
帰りのバスが来るまでは、ここでぬくぬくと時間を潰せば良いと
たかをくくっていた私は、ひとまず暗澹とする。
帰りのバスまでは、4時間という膨大な時間があった。

冷たい風に吹かれながら、ひとまず麓で買ってきたミスドを頬張る。
買ってきておいてよかった。実はこれがこの日の昼食となった。

山を降りながら窯元を見て回る。
初めから乗り気ではない妻は、10軒しか無い窯元を、
気のない様子でズンズン見ていってしまう。
「どこかの窯元でお話しながら時間をつぶすとか、温めさせてもらうとか、そういうこと考えない?」
などと言ってみたが、聞いてもらえず。
彼女は基本的にここの閉じた空気が気に入らない様子だ。
一子相伝を守り続ける、国の無形重要文化財指定を受けたのこの10件だけの集落が。
じっと亀の子のように生活を守り続けているというこの逃げ場のなさが。

あっという間に見終わってしまった。
いくらか気になるものは存在したが、これという感触を持てず。
ふたりとも冷えてトイレを探す。また資料館まで登る事になった。

トイレ前の花。寒かったが、美しかった。

この間、2,3組みの観光客が存在したが、どれも車で来ており
フラフラっと適当な窯元に入って大量に購入して、すぐに帰っていく。
真剣に、タクシーを呼ぼうかと考えた。
妻は徒歩で山を降りる案を提案するが、そんな距離感ではないと、諌める。

そうこうしているうちに雨が上がり、少しだけ日がさしてきた。
意味もなく、逆に山を登ることにした。
道は川沿いに続いており、意外なことに、点々と唐臼が設置されている。
観光用なのだろうか?かなりな数なので、本気で全て稼働させると、相当なペースで土を作ることが出来るのだろう。

小鹿田焼の里に戻ってみると、すっかり明るくなっていて、
各窯元の動きが活発になっていた。
ほうぼうから煙が上がり、庭先に大量の整形後粘土を天日に干し始めた。
さっきまで閉まっていた窯元が、店を開き、轆轤を回し始めている。
この里は天候によってまるで動きが違うらしい。



さっきは閉まっていた坂本浩二窯へ足を運んだ。

私と妻は興奮した。
悪いが、他の窯とはレベルが違う。
迫るものがある。
翌日麓のギャラリーの女主人が「完成度が」なんて言ってたけど、
民陶なんだよ。民芸なんだよ。雑器なわけですよ。
この窯のものは、なんていうかソウルフルなんだよね。
歪んでたりするけど、それでいいじゃん、という生命感がある。

突然機嫌をなおした妻と私は、持ち切れないほど購入し、
家へ送ることにした。

はあ~~~。良かった。寒かった。
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